【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「君は、明日から仕事復帰するのか?」
「うん、するよぉ~。生活大変なんだから、私樹くんみたいに裕福じゃないし」
「その事で君に話がある」
「私も樹くんに話があるの」
「それはそれは先にどうぞ」
「うん。樹くん、私と別れて下さいッ!!」
勢いよく言ったら、樹くんはぽかんと口を大きく開けて言葉を失った。
直ぐに真っ青になって、「何を言っているんだ…」と掠れた声で嘆く。
しつこい女からの猛烈アプローチ。やっと付き合えたかと思えば即別れ話。樹くんにとっては寝耳に水だろう。
しかし私は病院に運ばれて、チビひなたの涙を見た時から決心していた。 この幸せももう終わり。 一緒に居ることは出来ない。
「しょ、正気か?」
「うん、私はいつだって正気。私達、別れよう」
「お、俺の事が嫌になったのか?!
どうして突然ッ……」
出会った頃はクールで私の相手なんて全くしてくれなかったくせに、今の樹くんは相当焦っている。
こんな顔が見れる日が来るなんて。 あなたの事、沢山知りたかった。見た事のない顔、沢山見たかった。こういう形で知る事が沢山あった。