【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「樹くんと同じ位好きな人が出来たので…」
「はぁ?!」
「やっぱり私どうやら気の多いタイプだったみたいで」
だってあの子は、恋に似たときめきを私にくれた。 大切で守りたくて愛おしい。
可愛くて可愛くて仕方がないんだ。でもお母さんにはなれない。どこまでいっても敵わない。
「それは俺よりも良い男なのか?」
「同じ位かっこいいよ!
かっこいいと言うよりかは、可愛い!
その子の事を考えると胸がぎゅーっと締め付けられるの。
だから私この家には居れない…。だってここに居たら忘れられそうにもないんだもん。」
目の前を座る樹くんをちらりと見たら明らかにショックを受けた表情をしていた。
けれどもハッと表情を変えて、無理やり笑顔を作った。どこまでも大人の対応をする人だと思う。
「俺は何か勘違いをしていたのかもしれないな。
君が余りにも手放しに俺を好きだと言って、犬のように尻尾を振って愛情表現をしてくれるから…
一生俺から離れないものかと思ってしまったみたいだ…」
笑っているのに、どこか切ない顔。 寂しそうに眼を伏せて、ふぅっと小さなため息を吐く。
樹くんにこんな顔をさせているのは、本当に私なの?…こんなに好きになってくれるなんてあの日は夢にも思わなくって。