【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「私だって樹くんと結婚したい…!
でも私が樹くんと一緒に居ると、もう一人の好きな男の子が傷つく…
私はその子の事も本当に大切だから、傷つけたくない…」

その言葉に樹くんがハッとして、段々と顔は青ざめていく。

「まさか君の好きな奴って…」

「そうだよぉ~…チビひなただよぉ~…
恋愛感情じゃないけれど、好きな物は好きなの…。
だから私と樹くんが一緒になったらあの子はお父さんを取られたって悲しむでしょう?
私あの子が好きなの。守りたいし、傷つけたくない。それなら私はもう樹くんと別れた方がいいと思ったの~…」

樹くんはその場で頭を抱えてしまった。
顔を上げたかと思えば椅子から立ち上がりこちらへやって来る。

そして私の体を抱え、抱きしめる。
はぁーっといつもより長いため息が耳越しに掛かる。

樹くんの温かい胸の中、顔を上げる。 ホッとしたように優しく微笑む彼の眼差し。胸の奥がきゅっとしてしまう。

「それならば、やっぱり君は俺と居るべきだ。 陽向の事を想うならば、なおさら」

「でも…またチビひなたを傷つけちゃう…」

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