【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「おいおい、俺は君は知っても付き合う気は1ミリも無いんだが?
俺を好きになるなとこの間も言ったばかりだが?」
「やっぱりお互いを知るためには電話をしたり、デートを重ねたりしなきゃと思ってます」
「君は…君は、人の話を聞かないとよく言われないか…?」
「よく言われます!
出会ったばかりなのに私の事をそんなに分かるなんて…やっぱりこれは…運命?」
笑顔いっぱい、左手の小指を彼の方へ突き出すと、彼は頭を抱えて大きなため息を吐きだしてしまう。
あぁ…悩んでいる顔もなんて美しいのだろう。…こんなにかっこいい人なんてこの世に居ない!
「だから…君は…」
「と、いう訳でこれからお食事にでも行きませんか?
私奢ります。美味しい屋台のラーメン屋さんを知っているんですッ!」
「ラーメンだと?」
キッとこちらを小さく睨みつける。あ…その顔も素敵。
「ええ。お嫌いですか?」
「いやラーメンは大好きだが…」
「じゃあ決まり~!さっそく行きましょう!」
樹くんの腕を無理やり掴み歩き出そうとしたら、彼はそれを強く振り払った。
「悪いが、早く帰らなくては行けないんだ。」
「なぜゆえに?!」
「元々君と食事を共にする理由はない。
…それに家で俺を待っている人がいる」