【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
ガンッとまるで頭の上をタライが落ちてくるような衝撃だ。
待っている人…?それってまさか…彼女?
焦った私は、歩き出そうとする彼の前へ再び行って通せんぼする。
「ひなた情報では、小鳥遊樹は彼女はいない筈です。
特定の彼女を作らずに夜な夜な女と遊びまくる遊び人なはずですッ」
「そのひなた情報とやらはどこからだ。確かに俺は特定の女は作らない主義で、遊んでいないと言えば嘘になる。
女性から見れば最低男と言った所だろう。…それなのに何故君は俺に固執する…?」
「あなたが好きだから…!」
それ以上も、それ以下もない。
大体私は自分の目で見たものしか信じないタイプなんだ。
私が見た小鳥遊樹という人間は、あの宝石箱をひっくり返した夜に包まれた妖艶な姿と
オフィスビルで怒られている私を庇ってくれた、あの優しい笑顔。 それが私の中の真実で、誰かから聞いた話しや噂話などは自分の目で見た物ではない。
「俺を好きになるなと言っただろう?」
「でももう好きになったので仕方がありません。取り合えず電話番号をゲットするまでここから動くつもりはありません」
はぁああああと樹くんのため息は大きくなるばかり。
それでも一歩も譲れない恋だってここにある。
「それに酷いじゃないですか…。やり捨てなんて。食事の一度くらい…」