【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「ねぇ、僕、ご両親は近くに居ないのかなぁ?
もうすぐ暗くなってしまうし子供がこんな所に一人で居たら危ないよ~?」
出来るだけ優しい声でそう言葉を掛けると、少年は鼻をフンッと鳴らして横目で私の顔を見た。
「子供扱いするなよ。ババア」
な、な、な……まだ23歳の私に向かってババアだと?!
この子の両親は一体どういう躾をしているのだろう。クソ生意気な。親の顔が見て見たいものだ。
「それにお前みたいに馬鹿そうな恰好してる人間の方がよっぽど危ない。」
やけにしっかりとしている子供だった。と、いうか可愛げのひとつもない。だから子供は好きになれないんだ。
真っ黒の大きな瞳を見つめながら、自分がこの子の年齢位の頃の事を思い出す。…私がこの子位の年齢の時は毎日毎日泣いていた。こんな風にしっかりもしていなかったし、大人びても居なかった。
大好きだったおばあちゃんに我儘いっぱいぶつけて、泣きじゃくっていた。 そんな時は決まっておばあちゃんが私を抱きしめてくれて、背中をぽんぽんと優しく叩いてくれた物だ。
思い出すと切なくなる。
こんな時は甘い物!バックの中に入れていたドロップを取り出して、舌で転がす。
「ん~甘い~幸せ~。イチゴ味だ。らっき~!」