【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

ちらりとこちらに視線が投げかけられる。

眉目秀麗とは正に彼の事だ。小さな顔に大きな瞳。二重のラインも平行で綺麗。通った鼻筋はきゅっと小さくて、唇は薄いけれど歯並びは良くてスマイルラインはとても美しい。

黒髪の短髪がとても似合っていて、背が高くスタイルだってとびっきり良い。
こんな人の彼女になれるなんて、夢みたい。…けれどどうだろうこの態度は。

「折角のスイートだ。君は泊って行きなさい。」

え?付き合い始めのふたりってこんなに冷めきっているものだっけ?!
しかも初めて結ばれたばかりなのに。

「けれど!折角の記念の日ですし」

「’記念’だぁ…?」

「えぇ。私とあなたが初めて結ばれた
’記念’の’日’です」

両手を頬にくっつけて、先ほどの情事を再び思い出す。…あぁー本当に良かったなぁ。
特にキスがとても上手でそれだけで意識がぶっ飛んでしまうかと思った。

「何を勘違いしているが知らんが…」

「もぉ!照れ屋なんですねッ。さっきまであんなに激しく私を求めていたくせにッ…」

ベッドから飛び起きて、彼の両腕に体をぴたりと密着させる。
けれど彼はますます変な顔をするばかりだった。

すると彼は無表情のまま私を見下ろして、胸をわしづかみした。

…キャッ!何て大胆。冷たい態度を取っているのはただの照れ隠しだったようね。まだまだシたりなかったなんて…。
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