【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「デカい…」
「えへへ。胸だけは自慢ですッ!細身なのに、見事なまでの美しいEカップ!
どうぞどうぞ。もうあなただけの物なので好きになさって下さいッ」
パッと胸から手を離して、彼は頭を抱えて大きなため息を吐く。 気のせいだろうか。少しだけ顔色が冴えない。
「そうか…俺はその胸にだけ目が言ってしまって理性を失ってしまったと言う訳か。
と、いうか…君が何を勘違いしているか知らないが、今日の夜の事はどうか忘れてくれ」
開いた口が塞がらなかった。そして次に口から飛び出したのは、広い室内に響き渡る大きな悲鳴だった。
「えぇええええええええーー?!」
私の間抜けな悲鳴がだだっ広い室内にこだまする。
顔を歪めて耳に指を突っ込む彼が、財布の中から何枚か万札を取り出す。
それをテーブルに置いて、スーツのジャケットを手に取る。部屋を出て行こうとした時だった。
真っ裸のまんま、彼の首根っこを掴まえる。
「何するっ…」
「小鳥遊 樹さん!私と付き合ってください。
ずっとずっとあなたの事が好きでした。順番が逆になってしまいましたが、私はそんなの気にしないので!」
私は確かに真っ裸だった。傍から見ればこんな告白間抜けである。しかしその想いは真剣である。
だってだって…数か月前偶然この小鳥遊樹さんに一目惚れして、ずっとずっと好きだったんだから。
だから今日、彼とこんな関係になれて当たり前のように恋人になれると思っていた。それどころか挙式はどこであげようと結婚生活の事まで夢に見ていた所なんだ。