【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「行きたい場所を決めておけ。 俺はさっきも言った通り人に借りを作るのが嫌いだ。
今週は少し忙しいが、来週末なら時間が取れるかもしれない。」
「へ、へい!!」
「へいって何だよ、へいって」
今日は絶対に良い日。
いや、暫くラッキーディズは続きそう。
だって星占いよりも当たるのだもの。 あんなにいっぱい沢山素敵な笑顔を私へ見せてくれた日は。
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数日後。
相変わらずのメール攻撃は鳴りやまなかった。返事は変わらずに淡泊。
けれど3通送って、1通返信が返ってくるようになったのはちょっとした進歩だと思う。
相変わらず内容は一言ばかりだが。
『私、動物園に行きたいです!』
『君は子供か』
冷たいメールの返信だったが、彼は約束通り来週の土曜日私の為へと時間を作ってくれた。
とても忙しい人だというのに、律義だ。 けれど……気になってしまったのは、チビひなたの事。
折角の土曜日。学校は休みなはずで、本来であるのならばこんな得体も知れない女より優先すべきはチビひなたである。
えーい、気にするのは止めだ!折角大好きな樹くんとのデート。気にしない、気にしない。
「ひなたちゃん、何を百面相していると言うのよ」
「あ!すいませーん!
私ゴミ捨てに行ってきますッ!」