【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「俺は…参観日などそういった類の親子行事には陽向が産まれてから参加した事はない。
これからも一切しないつもりだ。」

「何故に?!」

身を乗り出して、テーブルを勢い良く叩くと更に樹くんは迷惑そうな顔をして片耳を塞いだ。

「声がデカい。君は俺の鼓膜を殺す気か?

陽向だって来てほしいと望んだ事は一度もない。
それに俺に子供が居るのは世間には隠してある。 それにあいつも子供ながらに納得しているよ。」

でも…チビひなた寂しそうだった…。

「どうして?」

「インターネット系の会社を営んでいて、メディアにも露出がある。騒いで欲しくもないが、騒がれる身だ」

「確かに樹くんちょーかっこいいもんね」

「ネット社会の現代は何があるか分からない。
陽向の存在が明らかになれば、陽向自身の身に危険が及ぶかもしれない。
ただでさえ父子家庭で何を言われるもんか分からない。
父親として、子供を危険から守るのは当然だ。」

「でも…チビひなたは樹くんに参観日に来てほしいと思う」

「何故に君に陽向の気持ちが分かる?
あの子は昔からとても聞き分けの良い子なんだ。母親が死んでからというものの、とくにしっかりして
自分の置かれた立場など君よりも良く分かっている。分かるか?つまりは君よりずっと頭の良い子なんだ」

< 91 / 251 >

この作品をシェア

pagetop