【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「どうして、もう誰も好きにならないって決めつけるんですか?」
聞き分けのない私に夏村さんは眉をしかめ、少し怒っている口調で言った。
「それは…!だって樹は本当に向日葵の事を愛していたし、それに陽向くんだって居る…」
「それは恋愛しない理由には全くなっていないと私は思うんですけど。
奥さんをずっと一途に想っている樹くんもすっごく素敵だし、チビひなたを大切にしているお父さんの樹くんもかっこいいけど
だからって樹くんが一生恋愛しない理由にはなりませんよね。
それに私は樹くんが好きだから、諦める気持ちはありません!」
「あなたって……」
夏村さんは呆れ顔でまだ何かを言いかけていたけれど、「じゃッ」と言ってオフィスを後にする。
今はそんな事はどうだっていいんだけど。
どうやってチビひなたの学校に潜入しよう。
日時と時間はバッチリ携帯の写メにおさめといた。
けれど、樹くんが言うように部外者はどうしても入れない仕組みらしい。さすがは私立の有名小学校である。
きっとセキュリティーなんかも万全だろうし、私が通っていた田舎の小学校の様に誰でも彼でも入れるって訳じゃないんだよね。…こんなご時世だしさ。