夏と君は絶対に大嫌い
おかしい。たしか私は現代文の成績はよかったはずだ。数学は壊滅的だけど。
なのに今、目の前にいる奴のお話は全くもって理解不能だ。
「……どういう意味?」
「だから!」
奴の顔が赤い。熱中症か?
「俺もお前のことめっちゃくちゃ前から好きなんだけど。すげー好きなんだけど。
でもお前、俺にだけなぜか冷たいから死ぬほど落ち込んだ」
「…それは、だから嫌いになりたくて…」
「嫌いになんてさせねーし」
バシャ、と水音がする。
奴の顔が近づいて、熱っぽい瞳とぶつかった。
「俺以外……ぜってー、誰も好きにさせねー」
熱に浮かされたまま、ふらふらする、頭の中で。奴の唇を受け入れていた。