夏と君は絶対に大嫌い
「やられたらやり返す…十倍返しだ!」
どこぞの銀行員のようなセリフを吐いて私もやり返す。
手で水をすくって思いっきり水をかけてやる!
近くを泳いでいたアメンボが慌てたように逃げていく、ごめんね。
「わっ、バッカやめろ!」
「やめないよ~!やめてほしかったら、詫びろ詫びろ詫びろ~!」
バシャバシャバシャ
水滴が太陽にきらめく。
頭まで水で濡らした奴が、濡れた前髪の隙間からキッと私を睨む。
あ、きれい
と思った瞬間、ツルッ、と足がすべった。
「ぎゃぁ…っ!」
「おいっ!!」
全身水浸しを覚悟した瞬間、
ガシッと力強い腕に抱きとめられて
私の視界には真っ青な空と、焦ったような奴の顔。