青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



「テンちゃん、そこはだめですよ、あっ!もうちょっと……」

「え、ここでいいだろ、ドンピシャじゃねぇか」


大きな画面の前にあぐらをかくテンちゃんと、その横で正座する私は、二人して白いリモコンを操作している。

何故かテンちゃんの家にあった馴染みのあるテレビゲームをしているのだ。

巧妙な操作で、クレーンゲームのアームを動かす。画面越しに。
順番にアームを動かし、最終的に点数が多い方が勝ち。

五週目に入り、両者とも中々の腕前だが、ただいま私が五点差で勝っている。

テンちゃんが失敗すれば、私の勝算はあがるのだが、毎回ぎりっぎりを攻める彼の操作をみていると、もどかしくて口出しせずにはいられない。


「よっし。どうだ、見たか?一気に二つもとれたぜ」


くっ。私の心配など無用だった。

画面いっぱいに、10ポイントGETの文字が広がり、焦りを覚える。

ドヤ顔のテンちゃんを見ると余計に。


「でもまだ私の方が勝ってますから……
……ほら、私も二つ取れましたし!」


続いて私も点を稼ぐと、テンちゃんは眉を下げて唸った。


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