青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
二人して対抗心むき出しの、とても昨日恋人になったとは思えない雰囲気。
これでも一応、昨夕本物の恋人になったはず、だ。
今日はテンちゃんの家にお呼ばれし、彼の絶品パエリアを頂いたあと、甘い雰囲気にはならずとも楽しんでいる。
今度は一気に三つもとろうとする彼の横顔を盗み見る。
仕事でもしているのかと思うほど真剣な顔つきだ。
「あー、取れなかった。次、みやびの番」
不意に眺めていた顔がこちらを向き、ばちりと目が合う。
見つめてたこと、バレちゃうかな?
「なんだ、キスでもして欲しいのか?」
なっ、そんな顔してない…!
しかしそれを口に出す前に、彼は持っていたリモコンを無造作に置くと、軽く唇に触れてきた。
うぅ。キスしてほしかった訳ではなくても、嬉しいものは嬉しいんだもの。
私は三度目のキスにも真っ赤になるというのに、テンちゃんは顔色ひとつ変えない。
それどころか、「毎回可愛いな、反応が」と私を笑っている。
なんだか悔しい。余裕な彼が。
どうにかして彼を赤くすることはできないものか…。
ここは、いっちょ私からキスをしてみようか。
ゲームの対抗心の延長といおうか、私は「あ、五つとれた!」なんて適当な嘘をいい、彼がテレビの画面の方を見た瞬間、身を乗り出し、彼の唇を奪った。