青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



ラーメンのお代は知らない間にテンちゃんが払ってくださっていた。

冷静になってみれば、私はさっきから恥ずかしいところしか見せていないし、とてつもなく迷惑をかけている。


「先生、ありがとうございます。さっきはすみませんでした」


ベリーヒルズビレッジを出て、私の前を歩いているテンちゃんに、患者から先生へとして頭を下げると、テンちゃんが振り返った。


「俺が言いたかったのは、体を大事にしろってことだ。なのに喧嘩みたいになってごめん」


今まで、テンちゃんは雲の上の人で遠くから見つめるだけの存在だった。
きっと紳士的で大人しくて、品のある人なんだろうなぁなんて勝手に想像していたけど、実際は全然違った。

ハイスペックで見た目と肩書きは王子だけど。

夜中にラーメンを奢って家まで送り届けてくださる。

謝れば謝り返してくるし、想像の斜め上をいく人だ。


私は頷きながら笑うと、テンちゃんがあ、と声を上げた。


「連絡先交換しよう」


えぇ。そんな簡単に教えていいんですか。五手の神器の人が。

でも彼は譲る気はなさそう。

それに、王子と連絡先交換なんて、願ってもいないものだ!!

喜んで携帯を差し出すと、テンちゃんは斜め上どころじゃない発言をした。


「明日から、二度と倒れないように食事の管理をする。朝昼晩、食べたものを報告しろ。時間があれば俺も一緒に飯食うからな」



え…まさかの……管理のためですか…!



< 21 / 129 >

この作品をシェア

pagetop