青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
ここで私が違いますと言えば、部長の怒りの矛先は確実に野々宮さんと私以外の誰かに向けられる。
「そうです。私が人事に報告しました」
言ってしまった。これでもう後戻りはできない。
「そうかァァ。おめぇかぁ!!
ふざけんなよぉ?こんなことしといてただで済むと思うなぁぁあ!!」
この半年で一番の怒声が、オフィスに響いた。
あーぁ。私どうなるんだろ。
多分毎日残業尽くし、雑用全部押し付けられて、遅刻も欠勤も許されない。
これじゃあ、朝昼晩の食事どころじゃないよ。
テンちゃーん。私また倒れるかもしれませんわ!
これからの想像をして、私は心の中で思いっきりそう叫んだ。
顔を上げると、浪川部長はキツネよりも意地悪い顔をして笑っていた。
その顔は、きっと一生忘れないほど気味悪かった。