青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



その日も何の代わり映えもなく帰宅すると、マンションの植え込みに誰かが座っている。

そーっと近づくと、顔を上げて笑ったのはテンちゃん。

あぁ王子。今日もかっこいい。
癒しをありがとう。


「お疲れ。もう二十三時回ってんぞ。こんな時間まで仕事してんのか?」

「…それはこっちのセリフですよ。
一体いつからそこにいたんですか……」


怒らないんだ。
食事の報告はしていないし、帰宅時間は二十三時過ぎ。
絶対怒られると思ったのに、お疲れって言ってくれた。

誰かにそう言われたのは、いつぶりか。
荒んだ心がジーンと温まるのがわかる。


「とりあえず、寒いから部屋入れて。間違っても襲わないから。」


大袈裟だけど、人の温もりが嬉しくて、つい泣きそうになっていると、テンちゃんは余計な一言付で私を促した。




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