青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
こんなことなら、日頃から部屋を掃除しておけば良かった…。
脱ぎっぱなしの服やらが散乱しているし、ゴミ箱にはコンビニ生活の証拠が沢山。
「どうぞ。狭いですけど」
スリッパを差し出すと、「お邪魔します」と入ってきた。
冷えきった部屋に身震いしながら急いでヒーターをつけ、お茶を淹れようとキッチンに立つと腕を掴まれた。
「いいから。風呂入ってこい。寒いし疲れただろ。主がいなくても部屋荒らしたりしないから」
冗談めかして言ったテンちゃんだけど、本気で私を心配してくれている。
目を細めて、労わるように優しく囁かれ、静かに頷いた私は言われるがままお風呂に入った。
冷えた体は熱いお湯で温まったけど、テンちゃんの「お疲れ」のほうが何倍も心を暖かくした。