青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「で、こんな時間まで仕事してるとは、どういうことだ?」
「…私、仕事するの遅いんですよ。
最近忙しくて、皆さんもこのくらいの時間まで会社に残ってます。」
「嘘はいいから。正直に言え」
人って、本当に見かけによらないよね。
見た目ばっかり王子様だけど、中身は…うーん、例えるなら…悪魔?
心の内を全部見透かして、嘘は許されない。
食事の管理とか、こんな時間まで主が帰ってくるのを待って、必然的に部屋に入れるよう仕向ける。
今も多分、パワハラだって察した上で聞いているんだな。
でもさぁ、ここでテンちゃんに言って、何になる?あのキツネ上司が大人しくなる?異動になる?テンちゃん、シメてくれる?
「言ってどうなるんですか。」
「俺に出来ることはなんでもする」
俺に出来ることは?できなかったら何もしないんだよね。
私の心は相当荒んでいるみたいだ。
テンちゃんに何を言われても否定しかできない。