青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
ぶっ倒れ王子~side テンちゃん(天ヶ嶋蒼介)
………とんでもないことになったぞ。
俺が目を覚ますと、そこは鳥飼みやびのマンションだった―
昨日、二十三時過ぎに彼女が帰宅。
パワハラ及びセクハラキツネジジイめの話をして、帰ろうと思ったら…。
昨夜のことを思い出し、ぎょっとする。
昔から体が弱く、何かにつけて熱を出しては寝込んでいた。
小学校の頃までは喘息持ちで、吸入器はかかせなかった。今でこそ喘息は治ったものの、体が丈夫ではないのは変わらず常に解熱剤を持ち歩いている。
それでもここ一年、熱を出すこともなかったのだが、昨夜見事にぶっ倒れたらしい。
まぁ今思えば、待ち始めて一時間ほどたった辺りから体の違和感は感じていたのだが。
布団から体を起こすと、すぐにローテーブルの紙が視界に入る。
お粥にシャワーにスウェットに…鍵!?
おいおい、いくらなんでもそこら辺の男に自部屋の鍵を渡すかよ。
しかし、風呂場は濡れていて誰かが入ったのはすぐ分かり、お粥はまだ温かかった。
昨日から彼女が家を出るその時まで甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたのには感謝しかないし、何より彼女の優しさが嬉しかった。