青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
デートと妄想
目を覚ますと外はすっかり暗くなり、傍らではスマホが音を立てていた。
テンちゃんからの着信だった。
何かあったら電話しろ、とは言っていたけど、何も無くても電話する、とは聞いていない。
初めての王子との電話に緊張気味で通話ボタンをタップすると、心配気な声が聞こえる。
『大丈夫か?何もないか?生きてるか?』
「大丈夫です。何も無いです、生きてます」
疑問詞全てに応えると、スマホの向こうでテンちゃんがふぅと息をついたのが分かる。
『今オペ終わって帰るとこだ。何かほしいものあるか?冷蔵庫何もないんだろ』
今オペ終わったって、もう二十時ですよ?
十六時半からって言ってたから、三時間半の大手術じゃないですか。
疲れているはずだから早く家に帰って体を休めていただきたいものだ。
「大丈夫です、ゼリーありますから。それよりテンちゃん、ちゃんと休んでください。昨日熱出したんですよ、覚えてないんですか?」
『……ゼリーだと?』
あっ、しまった!
ここはちゃんと作りますって言うところだった!
「いーえ、ゼリーなんて食べません、ちゃんと作ります!!」