青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
王子降臨
その日、今日こそは、と定時ちょっきりにオフィスを飛び出した後ろで、キツネ上司の嫌な叫び声が聞こえたが、立派に無視してしまった。
明日の獄務が怖いけど、王子に私の心に癒しを与えてもわなければやれるもんもやれない。
雲の上にいるような錯覚さえするベリーヒルズビレッジを、枯れ葉を踏みしめながら進み、ショッピングモールとオフィスビルを抜けたところに佇むのが、
エンジェルウィング病院。
真っ白な建物の前には駅のようなロータリー。駐車場は地下にあるため、ここは送迎用のバスやタクシー、車などが行き来する。
高ぶる気持ちを抑えながら病院に足を踏み入れ、真正面の受付カウンターに向かう。
バックから取り出した入室許可証をみせながら「橘あかりの妹です」といえば、直ぐにエレベーターのロックを開けてくれる。
ここは、エレベーターに鍵がついていて、許可証と受付を済まさなければ鍵を開けてくれない。