青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



現在午前九時三十分。

鏡の前に何度も立っては、そこに写る自分の姿がおかしくないかとそわそわする。
あと三十分でインターホンがなる。

いつもはおろしてあるか一本にまとめてある肩につかないくらいの髪は気持ち内巻き、ハーフアップにしてバレッタでとめてみた。

薄グレーのボリュームスリーブニットにロングスカート。童顔を生かした清楚な化粧をネットでみつけ、実践。
とにかく、王子の隣を歩いても笑われないように、姉の結婚式以来靴箱の奥にしまわれていた高めのヒールを引っ張り出した。

どんなものかも忘れかけていたが、運良く今日の服装に合うシンプルな色だ。

多分きっと、行先はベリーヒルズビレッジのタカノミヤ。スーパーも入っていると聞いたことがある。

姉のおつかいで寄るくらいしか機会が無いので、ゆっくり回れるのではと、少し楽しみだったりする。


あの王子と出かける日がくるなんて、未だに不思議でしかない。

まぁ、テンちゃんからすれば、目の前で倒れた人がコンビニ生活していたので医者としてほっとけない、とかそんなところだろう。


< 51 / 129 >

この作品をシェア

pagetop