青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「テンちゃんは、毎年手に余るくらい貰ってるんじゃないですか?チョコ」
「……否定はしないかな」
どっきどきのバックバクを隠すように、ちょっと意地悪な質問をしてみると、バツが悪そうに答えた。
一体どうしたら、私なんかにチョコを頂戴、なんて言葉出てくるというのか。
「貰いたくて貰うんじゃないんだよ。
勝手にロッカーやらカバンに入ってんの。誰からかも分からないからちょっと怖い」
続いて額に手を当てて項垂れるので、「それは怖いかも」と私も苦笑する。
「あ、でも。誰に貰うよりみやびからのが一番嬉しい」
顔を上げたと思ったら、屈託のない笑顔を向けられる。
もう!そんなことその顔で言わないでよ。
私の心臓は益々鼓動が早まる。
「テンちゃん、カッコよすぎますよ。反則です、その笑顔」
心の声はしっかりと、本人に届いてしまった。
顔が熱くなるのを感じながら目線をあげると、テンちゃんは片手で顔を覆っていた。
耳が真っ赤に染まっているから、顔も真っ赤なんだと思うと、不本意ながらくすくす笑ってしまう。
私ばかり照れてなんだか悔しいから、テンちゃんを照れさせられたのが嬉しかった。