青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
恋とキス
「で、嘘ついちゃったんだ。
………みやびちゃん、それ、恋だね。
最後に彼氏いたの五年前だっけ?感覚鈍りすぎよ〜」
花柄のティーカップを布巾で拭きながらずばり恋だと言ったのは、花菜ちゃん。
休みの間ほぼ毎日てぃーのに通っているうちに、花菜ちゃんとはすっかり打ち解けた。
他に話せる人が居ないのもあり、私は仕事終わりにてぃーのでコーヒーを嗜みながら、ぽろぽろと今日の出来事を話した。
「……恋…」
はっきり言われて、私はカウンターに突っ伏してぼそりと呟く。
「そう、恋よ。どう?腑に落ちたでしょ」
そうなんです。問題はそこなんです。
腑に落ちたんです!
ものすごく落ち着いたんです、頭の中が〜!
これが恋なんだと言われた途端、見事なまでに頭のごちゃごちゃは綺麗スッキリ消え失せた。
困った。王子に恋なんて、どう考えても不毛すぎる…!
「でぇ〜。みやびちゃんが百面相するような相手って、、誰なの!」
カップを棚に戻した花菜ちゃんは、私以外の最後のお客さんを見送ったあと、ゆったりと隣に腰を下ろした。
にやにや笑っている花菜ちゃんは、ものすごく面白がっている。