青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
ごくり。今日こそ王子、いますように……!
姉に新作チョコレートを届け、外科病棟をちらりと覗き見る。
フリースペースの端にちょこんと座り、切なる願いが叶うことを祈る。
……いた!王子…!
はぁぁ。本当に久しぶりです。目の保養すぎてもう、歓喜!
白衣姿のテンちゃんは、ナースステーションでナースと話している。
連絡先を知っているからといって、会いたいだなんて不純な動機でお呼び立ては出来ないし、何よりそんな間柄じゃないと、思う。
〝なんでもない女なら、そこまでしないと思う!〟
花菜ちゃんの言葉が脳裏にチラついたけど、ぱっぱと取り払った。
勝手に期待するだけして違ったらどん底、なんて嫌だ。
だからここでこうして、二週間ぶりに見られるだけで、十分だ。
あと少しだけ眺めて帰ろう。
ここ病院だし、こんなこと万一本人にバレたらたまったもんじゃない。
と思ったけれど、私がのほほんと色々な想像をしている間にテンちゃんはいなくなってしまった。
仕方ない。今日は帰るか。
ナースステーションのナースの一人が、私のこと訝しげな目で見ているしね。
私はそのナースに、怪しい者ではありません、の意を込めてにこっと笑い、立ち上がった。