青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~


「みやび?」


立ち上がった瞬間、背から聞こえてきた声に、びくっと肩が跳ねる。

この声は…もしかしなくても……


「…て、テンちゃん……!」


ひゃー!どうしよう、なんて言い訳する?ストーカーでは断じてありません!
そうだ、まずその誤解を解かないと…!


「お姉さんの見舞いだよな。稜は来てる?」


あ!そうよ!何焦ってるんだろう。
私はお姉ちゃんのお見舞いに来たんだから!


「はい、そうです、そうです。お姉ちゃんの様子見に来ただけですよ。別にやましい事なんて何も…じゃなくて、稜君もさっきまでいましたよ。」


はぁ。危ない危ない。余計なことまで口走りそうになった。


「そっか。…あ、みやび、今日何の日か、わかってる?」


挙動不審な私に気がついていないのか敢えて言わないのか。

今日は何の日かと聞かれたけれど、特にこれといってないと思うんだけどな。

祝日…でもないし、

ただの二月十四日だよね。


……………二月十四日……!?

バ…バレンタインだ……………。

まっずい、忘れてた!すっかり忘れてた!

テンちゃんに、チョコ頂戴、って、言われてたんだった!



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