青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
これが…ベリーヒルズビレッジのレジデンス…。
想像をはるかに超える広さとインテリアの高級感溢れる雰囲気に、言葉が出ない。
口をパクパクさせて狼狽える私を苦笑いで見つめたあと、テンちゃんはキッチンにたった。
「こっちきて。何飲むか決めて?」
小さなダンボールの箱を掲げてそう言われたけれど、キッチンに立つテンちゃんがあまりに格好よくて、その場から動けない。
…合いすぎている。この部屋に!
漫画みたいにキラキラのトーンが散りばめられている。
冗談じゃなく、例えるならそれしかない。
立ち尽くしていると、テンちゃんが持っていた箱をおき、くすっと笑った。
「なに?俺が格好よすぎて惚れちゃった?顔赤いぞ」
なっんだって!?
テンちゃん、そんな、そんなこと言う人でしたっけ!?キャラ違うよ…!
なんかおかしい!テンちゃんがおかしい!
顔が赤いと言われてしまい、手で頬に触れる。
たしかに、熱いかもしれない。
これでは私の恋心が早くもばれてしまうと恐れ、気を改めてキッチンのテンちゃんの横に立つ。
「惚れてなんかいませんよ!自分でそんなこと、言う人でしたっけ?」
少し強めに言うと、テンちゃんは肩を竦めてサラリとものすごい発言をした。
「俺はお前に惚れてるからな。みやびには、こんなこと言っちゃうのかもな」
〝みやびには〟をやたら強調され、心臓がドキッと大きく跳ねる。