青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「いーや。忘れない、一生。
…………お前も、忘れられないようにしてやる」
駄々をこねる子供じみた発言をしたかと思えば、次の瞬間、真逆に大人の男の顔になった。
耳元でそっと囁かれた後……。
彼の長い指が頬に触れ…彼の唇と私の唇が、ぴったりくっついた。
肩がくっつくのとは違って、接触面は狭く柔らかい。
彼の薄い唇は中々離れず、やけに大きく聞こえる時計の秒針がカチカチと動くにつれ状況を理解し始めた頃。
「これでもう、忘れられないだろ?」
キッチンのシンクに片手をつき、満足げににやりと口角を上げる彼は、悪魔のごとく。
私の恋心をかき乱し、自分の存在を深く植え付ける。
この先忘れたくても忘れられないであろう王子の口づけは、ファーストキス並に甘かった。