青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
一生の不覚である。手汗予防スプレーとかないのかな。
恥ずかしい失態をしでかしてしまい、落ち込む私を知ってか知らずか、テンちゃんは注文をとりにきた花菜ちゃんにオススメを聞いていた。
彼の注文を取ったあと、私の注文は聞かずとも、いつも飲んでいるコーヒーと、種類違いであろう少し色の薄いコーヒーが運ばれた。
コースターに置いて「ごゆっくり〜」とまたしても含みのある笑みと共に花菜ちゃんが去ると、コーヒーを一口啜ったテンちゃんは、感嘆の声をあげた。
感慨深いというように、真っ白のカップに入ったコーヒーを見つめる彼に、私は意気揚々と話す。
「ここのコーヒー、美味しいですよね!他にも紅茶とお茶も種類豊富なんですよ!あそこ見てください、世界各国から集められたものなんです。
今度、二号店がタカノミヤにオープンするんですよ!あ、しかも、二号店ではテイクアウトも始めるらしいんです!」
興奮して口が達者になる私の言葉を、テンちゃんは心から同感するように何度も頷きながら聞いてくれた。
「二号店がオープンしたら、毎日行っちゃうかもな。テイクアウトできるなら、仕事しながら頂けるし。」
私の行きつけのお店をそう言ってくれたのが本当に嬉しくて、「ですよね!」と食い気味に返してしまう。