青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
テンちゃんにコーヒーを購入しようと思っていたけど、好みが分からないのでとりあえず一番お値段がお高いものに、と我ながらサイテーな考えで選ぼうと思っていたけれど、彼の様子から濃いめが好きなのだと分かった。
彼が注文したコーヒーは色が薄いけれど、味はかなり濃い方なのだ。
本人に選んでもらう手もあるのだけど、そうなればものすごく遠慮されてしまう気がしていたので、それなりに高級な濃いめのコーヒーをこっそり購入した。
終始にやにや顔の花菜ちゃんを後目にてぃーのを出ると、すぐそこの私のマンションまで、再び手を繋いで歩き出す。
なんだかもう恋人みたいな気分になってしまう。
今しがた頂いたコーヒーの話をしながらゆっくりと歩いている様は、傍から見ればやはりカップルに見えるだろうか。
そんな想像を紛らわすためにも、先刻購入したラッピングしてもらったコーヒーを渡そうとテンちゃんを見上げると、目先を凝視していた。