青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
何事だろうかと声をかけようとした時。
「蒼介!」
少し離れた先に、そう叫ぶ女性がいた。
それはもう、遠目から見ただけで、第一印象が美しいと言える美貌の。
近づいてくる彼女は、スラリと長い足を物語る真っ白なパンツにきりっとしたジャケット、ウェーブがかかった明るめの茶色髪は前髪共々かきあげられ、横流しにしてある。
高いヒールをコツコツならして、テンちゃんの前に立つと、女性は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「蒼介、やっと会えた。おじさんの所に行ったら今日は半休で上がったっていうから。探したのよ?」
蒼介、それはテンちゃんの名前。
名前で呼んでいるのと、口調や物言いから、さぞ親しいのだろう。
「いいだろたまには。てか、お前こっち戻ってきてたのか」
「えぇ。さっきの便でね。一番に会いたかったのに、居ないんだもの。」
テンちゃんもテンちゃんで、気を許しているのがわかる口調。
話からして、彼女は海外にいたのだろう。が、一番に会いたかったのに、って、それどう考えても意味が特別よね…。