今日から不良王子と同居します。
廊下を走ったり、夜更かしして機械いじりをしたり、玄関の門を飛び越えてしまったりしてばあやがカンカンになっていたっけ。


そうそう、お庭の一番大きな木に登って眠っていたこともあったんだって。


『お嬢様とは大違いでございますよ、あのお坊ちゃんはちっとも言うことを聞かなくて。ばあやには手に負えません。いったい神崎家でどういう教育を受けてきたんでしょ。上品なのは姿かたちだけです』


それを聞いた時には、ばあやの苦労を想像しただけで笑ってしまった。


玲生くんは叱られたその時だけ、謝ってはまた同じことを繰り返すそうだから反省の色はあんまりないみたいだけど。


自由奔放って言うか、彼の性分なのか。


ばあやは私みたいに言われたことに素直に従う子供になれているから余計に面食らっているようだ。


だけど、私からしてみたらそこまで目くじらを立てるほどでもない気がするんだけどな。


「玲生くん今ごろなにしてるんだろ」


2階でお風呂に入った後、彼がどうしているかふと気になって、メールをしてみようと思ってスマホの画面をタップした。

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