今日から不良王子と同居します。
ふう、よかった、これでちょっとはまともにしゃべれそう。


「で、なにしにきたの?」


彼にしてはぶっきらぼうな言い方。
それに怒っているのか、拗ねているのかわからない顔。


「私はただ、もっとおしゃべりがしたくて」


彼は一瞬、驚いたように目を見開く。


「え?しゃべりたかったらばあやさんかメイドさんに……」


「違うの。玲生くんとふたりでもっと話したかったの。食事の時はみんながいるからあんまり話ができないでしょ」


「そう……だね」


ちょっと不思議そうな顔で私を見つめる彼。


だって、せっかくひとつ屋根の下にいるんだから、もっともっと彼といろんな話がしたかったんだもん。


ただそれだけだよ。


理由なんて聞かれたところでうまく説明なんてできない。


ねえ、玲生くん。


いつも学校でどんなことを勉強してるの?


登下校の時にどんなものを見たり聞いたりする?


この家のことをどう思う?毎日何か不便に感じてることはないかな?


聞いてみたいことは無限に浮かんでくるけど、どれも他愛のないことばかり。

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