今日から不良王子と同居します。
そう言われて教室の前のほうに座って男友達数人と談笑している直政くんの方を見た。


彼はすぐに私の視線に気が付いて、はにかんだようにニコッと笑う。


いつも私が見ていたらすぐに気が付いてくれるんだよね。


直政くんは男友達と話すのをやめて、こちらへ歩み寄ってきた。


「音葉、家出少年はどうなった？」


開口一番、彼は玲生君のことを尋ねてきた。


「えっ、あの」


まさにその彼の話を明日香ちゃんとしていたところだったので、一瞬驚いた。


まさか、さっきの会話が聞こえていたわけじゃないよね。少し離れていたし大丈夫だよね……。


「玲生くんは家出少年ってわけじゃないよ。だって彼のお父様もちゃんと了承済みでうちであづかっているんだから」


「へえ、そうなんだ」


何かを知っているような笑みを浮かべる直政くん。


「まだ玲生くんのことを調べてるの？」


「うんまあね」


直政くんは眉間にうっすらしわを寄せた。
玲生くんの話をするときなぜだか私達の間に緊張感が走る。


私も無意識に言葉を選んでしまう。

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