今日から不良王子と同居します。
彼女は直政くんに素早く目を走らせて私の腕にそっと触れる。


これ以上は玲生くんの話をしちゃいけないっていう合図みたいに感じた。


ふたりには、どんなに玲生くんが悪い人じゃないんだよって説明してもあんまり納得はしてくれていない。


やっぱり、星之坂工業っていう不良高校に通っているのがインパクトが大きいのかな。


でも私のためを思って心配してくれているのが分かるので、あんまりそこは強く言えないんだよね。


「音葉、直政、そんなことより今週土曜日の予定をたてようよ。3人とも空いてるのはその日しかないんだからね」


明日香ちゃんが明るく笑って話題をかえてくれた。


だからちょっとホッとした。良かった、これ以上玲生くんの話はしないですみそう。


私と直政くんがおかしな雰囲気になりそうだったから気を使ってくれているのかもしれない。


いつも明日香ちゃんには申し訳ないな。


明日香ちゃんが提案してくれて久しぶりに3人でどこかへ遊びに行こうって約束をしていたんだ。


「そうだな。久しぶりにパーッと遊びに行くか」


直政くんもすぐにその話題にノッてきた。
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