今日から不良王子と同居します。
もしかして思春期の息子に反抗された母親ってこんな寂しい気分になるのかな……。


だけど、しょんぼりして項垂れた私に蒼汰くんは優しく声をかけてきてくれた。


「お嬢様、大丈夫ですよ。玲生のことは俺に任せてください」


「うん、ありがとう、蒼汰くん。でも私、うるさい奴って嫌われちゃったかな?」


「まさかそんなことあり得ませんよ。
あいつ照れくさいだけだと思うから。
それにお嬢様のところで暮らすようになってからあいつ毎日楽しそうなんですよ」


「え、本当に?」


「はい。玲生の奴、これまでずっと家庭のことで随分悩んでたみたいで。
だからお嬢様はあいつのことを大事に思ってくれてるみたいで嬉しいです、ほんとに」


彼は真剣な口調で話すからびっくりした。


そんな、玲生くんがずっと悩んでいたなんて。


それはやっぱり彼の家出と関係があるんだろうな。


もう少し詳しく聞いてみたいと思った。


「悩んでたってやっぱりお兄さんのことで?」
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