今日から不良王子と同居します。

「そうみたいだけど、あいつ詳しいことは言いたがらないから」


蒼汰くんが続けて何かを言おうとしたら10メートル先くらいまで歩いていた玲生くんが振り返った。


「蒼汰、余計なことは言うな。いくぞっ」


「お、おう」


玲生くんが不機嫌そうな顔で怒鳴るから蒼汰くんは慌てだす。


「じゃあすいません、お嬢様。あいつのことこれからもよろしくお願いします。
あれで結構繊細な奴だから」


そう言って、私にぺこりと頭を下げてくれた。


玲生くんのことを心から心配している彼。


少しでも安心してもらいたくて私はこんなことを彼に告げる。


「うん、大丈夫だよ。私が玲生くんのことをちゃんと守るから」


力強く勢い込んで言ったから、大きな声が出る。


「ほんとっすか、心強いです」


蒼汰くんは人懐っこそうな笑顔を見せてくれたから私も思わず微笑んだ。


それじゃあ、と言って彼は玲生くんのいる方へ走って行った。


「音葉さん」


そんな私達の様子を憮然としなら見ていた玲生くんは、大きな声で私の名前を呼んだ。


「うん」