今日から不良王子と同居します。
「君はそのつもりでも、音葉はそうじゃないよ。
ついこの間、君らの喧嘩に巻き込まれたときに彼女がどんなにショックをうけていたのか、君にはわからないんだろうな」


「え……」


玲生くんは、思ってもいなかったことを言われたみたいで驚きを隠せないようだ。


「君は彼女を守ったつもりかもしれないけど、彼女は君のいる世界にほんの少し触れただけでも壊れてしまうくらい繊細なんだよ。
まあ、不良になんてそんなこと言ってもわからないだろうけど」


玲生くんが私を見てちょっと不安そうな表情を見せたから、ハッとした。


そして私は直政くんにむかって口をひらいていた。


「ちょ、ちょっと、直政くん、そこまで言わなくたっていいでしょ。彼は年下なんだよ。それに初対面なのに、いきなりそんな責めるようなこと」


「音葉?」


「それに私そこまで弱くないよ。壊れる、だなんてそんな言い方、大袈裟だよ」


ううん、玲生くんの学校へ行ったあの日、我を忘れるくらい怯えていたのは確かだけど、今そんなこと彼の前で言わなくたっていいじゃない。


玲生くんをわざと傷つけるようないい方しなくたっていいじゃない。
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