今日から不良王子と同居します。
玲生くんは笑顔で、聞いてないことまでペラペラ話し始めた。


そっか、玲生くんのお兄さんって直政くんに似てるんだな。


だけど、尊敬してるって言うからには仲がいいんじゃないかな。


ふとこの前、お兄さんからの電話がかかってきたときの彼の態度を思い出して首をかしげた。


てっきり玲生くんはお兄さんのことが嫌いなのかなって、勝手に想像してしまっていたけど、そうじゃなかったんだ。


「……そう」


直政くんは玲生くんが急に謝ってきたことと爽やかな笑顔を向けられたことで、ちょっと面食らってるみたい。


気まずそうな複雑な顔をする。


わかるよ、直政くん、その気持ち。


玲生くんって何を考えているんだか掴みどころのない人で軽く人を煙に巻いちゃうとこがあるから。


「いや、俺も年下相手に言い過ぎたな。すまない、君が音葉と手を繋いでいたからついカッとなったんだ。俺のほうこそガキだよな」


だけど、さすが直政くんは大人というか、自嘲気味に笑って玲生くんに謝ってくれた。


よかった、いつもの優しくて実直な直政くんだ。

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