今日から不良王子と同居します。

直政くんの告白

直政くんの車が駅前を通過する。


車の窓からタピオカドリンクをのむカップルが見えた。


あんな風に玲生くんと歩いたらどんなに楽しかっただろう。


その光景を、ぼんやりと想像していた。


もしかしたら、私はタピオカドリンクが飲みたかったわけじゃなくて。


幸せそうなカップルみたいに、ただ二人で歩きたかったのかな。


最後に振り返ったときに見た彼は、呆然と立ち尽くししていた。


いつもの彼の明るい雰囲気とは程遠いくらいに、凍り付いたみたいな顔。


ごめんね、せっかくわざわざ迎えにきてくれたのに置き去りにしてしまって。


私あの時、どうかしてた。


「音葉、ちゃんと聞いてる?」


車の後部座席に直政くんと、隣り合わせで座っていた。


うちの車よりもワンランク上の白い高級車。車好きな直政くんのこだわりの愛車で送ってもらっていた。


「うん、聞いてるよ」


さっき車に乗り込んだ時から、直政くんが私にしつこく繰り返し話しているのは。

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