今日から不良王子と同居します。
彼があんな真剣な顔で言うものだから、こっちは無駄にドキドキして緊張してしまっていたのにな。


別に手を出されたいってわけじゃないけど。


「これからもちゃんと気を付けるから、まだここにいてもいい?」


彼はこちらを伺うように慎重に尋ねてきた。


あ、まただ、玲生くん、切なそうな顔。


どうしちゃったんだろ、彼にしてはなんだかしおらしすぎて変。


私に許しを乞うような頼りない眼差し。


だから、少し心配になる。


「え、うん。もちろんだよ」


「俺、音葉さんのペットみたいにおとなしくしてるから」


「ペットって、こんな大きなペットなんてたぶん、いないよ」


「音葉さん」


彼は突拍子もないことを言ったかと思ったら、そっと近づいてきた。


そしてなんと布団の上から私の足のあたりに、ポスっと顔をうずめてきた。


そのまま甘えるように体重をあづけてきたので、硬直してしまう。


ううっ、そんなことしたら、さっきの言葉と完全に矛盾してるんですけど?

私には簡単に触れられないんじゃなかったっけ?

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