今日から不良王子と同居します。

「音葉さん、犬か猫どっちが好き?」


変な質問をされて思わず何にも考えずに答える。


「ネコかな」


「じゃあ、俺は今だけ猫」


もしかしたら、猫だからくっついてきても許されるだろっていう無茶苦茶な論理なんだろうか。


相変わらず彼の独特な思考にはついていけないけれど。


「猫だからこれ以上は何もしないから……」


「……」


「もう少しだけ、こうしてていい?」


はいそうですかと納得できないけれど、なんだか寂しそうな声だったから邪険にできなかった。


私ってもしかしたら彼に対して凄く甘いのかも。


弟のようにううん、それ以上に甘やかしている。


だってもうすでに私自身
、彼の柔らかそうな髪の毛を撫でてあげたいような妙な気分になってきている。


ネコだからいいかな、なんて。


でも、さすがにそれは出来ないけど。


「ねえ、音葉さん、直政さんのこと好き?」


え、突然その質問?


「好きっていうか、友達だし……そういう意味では好きかな」


曖昧に自信のない返事しかできない。
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