今日から不良王子と同居します。
あ、今日のBコースのメイン食材は鯛か。明日香ちゃんの好物、きっと一緒に食べに来ていたら喜んだだろうな、そう思うとちょっと残念だな。


「音葉?」


「あ、うん。ごめん、ボーっとしちゃって」


「いやいいんだ」


「もしかしたら、このメニューを見て明日香のことでも考えてた?」


彼はメニュー表を指さして、柔らかく笑う。


「え、すごーい、あたり―」


「実は俺も」


「え、直政くんも?やっぱり?」


「そう、あいつ鯛が好きだろ。だから……」


「そうだよね。今度また3人一緒に……」


私がそう言いかけたら、彼は小さく首を振る。


「いや、当分は俺、音葉と二人がいいな」


「……」


「もっと俺が音葉の特別になれるまで。悪いけどそれまでは、3人でっていうのは無しにしようかなって思ってる。今は無理にでもそうしないといけない気がするんだ」


彼が私を見つめる眼差しに一瞬ドキッとした。


深くて真剣な気持ちが一瞬、垣間見えたような気がして。


「うん、そだね」


だけど、真っすぐに彼を見つめ返せなくて目線をそらせてしまう。
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