今日から不良王子と同居します。
玲生くん、どこへ行ってしまったんだろう。せっかく帰ってきたのに。


彼のことが心配で気が付けば走って、追いかけていた。


正門を開けて飛び出して、キョロキョロあたりを見まわす。


彼の姿はどこにもない。


とりあえず駅の方へ向かって走った。


何処へ行ったの?玲生くん。


駅までは遠いけど確かそんなに複雑な道ではなかったはず


真っすぐ行けばたどり着けるはず。


おぼろげな記憶を頼りに走った。


というのも、移動はいつも車だったから自分の家の近所の道でさえあんまりよくわかっていない。


こうしてひとりで、邸を出るなんてことは生まれて初めてかもしれない。


心細い、迷子になったらどうしよう。


不安だったけど、それにも増して彼を追いかけたいって気持ちの方が強くて。


なんの根拠もないけれど、このまま彼が戻ってこないような気がして不安だった。


そう思うくらい、先ほどの彼がショックを受けて立ち去ったように見えたから。


はあはあと、すぐに息が乱れた。
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