今日から不良王子と同居します。
本当はあの時、彼がこのまま帰ってきてくれないような気がして怖くなったんだ。


あんなところを見られて気まずさで一杯だけど、追いかけずにはいられなかった。


「……そう、いや俺も頭が真っ白でわけわかんなくなって。
気が付いたらここにいたんだ。どこに行くつもりもなかったんだけどね」


彼は少し目を伏せて照れくさそうにボソボソと話す。


「……」 


「いや、頭ではわかってたんだけど……。
ちょっといやかなり衝撃的だったから」


苦虫をかみつぶしたような顔で話す玲生くん。


さっきの私と直政くんが抱き合っていたことを言われているんだと思って、顔が熱くなった。


やっぱり、彼にだけはあんなところを見られたくなかったな。


「衝撃的って……」


それで彼はあの場から立ち去ってしまったのかな?


「音葉さんと直政さんが婚約してるってこと改めてはっきりと突き付けられたような気がして、妬いたのかもしれないな」


冗談とも本気ともつかないような言い方。


だけど、私を覗き込んで困ったように微笑む彼。

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