今日から不良王子と同居します。
また彼の気持ちがはっきりとは見えなくなる。


妬いたって彼はどういう意味で言ってるんだろう。


気になるけど、それを確かめるのが怖い。


だけど、言葉通りの意味なら彼は私のことを少なからずそういう目で見てるってことなのかな。


うそ、だって、まさかそんなことが。


私は彼の2歳年上だし、まだ出会って間もないし、婚約者もいるんだし……。


彼の言った言葉に軽く混乱していたら、穏やかな声が降ってきた。


「安心して。俺、音葉さんの幸せを最優先しなきゃいけないってわかってる」


「玲生くん」


「だから、今はこうして追いかけてきてくれただけで、いいよ」


私をまっすぐに見つめ、もう一度にっこり笑ってくれた。


「だって、音葉さんがひとりで邸の外に飛び出してくるなんて凄いことだもんな」


たったそれだけのことで、彼は嬉しそうに瞳を細めてくれた。


それだけでも、頑張って彼を追いかけてきた甲斐があったかもしれないな。


「だけど今思うとちょっと怖かったかも」


こんな近所でさえ、ひとりで出歩いたことすらない自分が情けないけど。

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