今日から不良王子と同居します。
「そっか、勇気を出してきてくれたんだね」


彼はそう言って私の頬に手を伸ばそうとして直前でやめてしまう。


彼の青い瞳が私を愛おしそうに見つめているような気がして。


目が離せなくなくて、ドキッと大きく心臓がはねる。


手を伸ばしたら、すぐそこに届くところに玲生くんがいる。


でも、


決して、手を伸ばして掴んではいけない。


欲しいと思ってはいけない。


ふとそう思ったら、急に寂しくなって俯いた。


どうして私、こんな気持ちになるの?おかしいよ。


「大丈夫?音葉さん、まだ足が痛い?俺、おんぶしてやろうか?」


「大丈夫だよ、もう平気だから」   


彼を心配させないようにニッコリ笑う。


平気、私はまだこうして自分を保っていられる。


だって、彼がそばにいてこんなにも優しくしてくれるんだから。それだけで心は満たされる。


今は余計なことは何も考えなくてもいい。


ただ、彼と一緒に楽しく過ごせたらそれでいい。

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