今日から不良王子と同居します。
「あ、ほらあそこによく行くコンビニが見えてる。音葉さん行ってみたいって言ってただろ」


「わっ、ほんとだー」


彼が指さしたほうを見たら交差点の角に、わりと大きめのコンビニがある。


送り迎えの車の中からは何度も見たことがあるけど、こうして見るのは初めて。


「わ、行ってみたい」


嬉しくて勢いよく立ち上がった。


「えっ、ちょっと音葉さん」


「お願い、玲生くん。行ってみようよ」


彼の腕を掴んで、立ち上がらせてなかば強引に引っ張っていく。


「あ、でも、私、お財布忘れた」


何も持たずに、慌てて飛び出してきたんだった。


「いいよ、いつも世話になってるお礼に俺奢るから。なんでも好きなの選んで」


「え、でもそんなの悪いよ」


「いいから、なんなら店ごと買い占めてやるよ」


冗談っぽく言って明るく笑う彼。
あながち神崎家の御曹司なら実現不可能なことではないのかな。


「じゃあ、お言葉に甘えて」

< 243 / 373 >

この作品をシェア

pagetop